色で楽しむキモノ~Let's coloranalyze!~

医師できものカラーコーディネーターが着物の魅力と生活のスパイスを書いています。

高次脳本⑨ リハビリテーション科の医師が選ぶ障害の本

高次脳本9冊目 前頭葉機能不全その先の戦略―Rusk通院プログラムと神経心理ピラミッド

高次脳機能障がい者支援に行っているリハビリテーション科の医師(きもの大好き)がおすすめする本の紹介です。

 

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著者の夫は音楽の専門家であり、ヨーロッパを中心に仕事をしてきました。突然の発症、そして本人の本質を理解していないように見える病院でのリハビリテーション治療に家族は焦燥感、絶望を感じます。妻であり同じく音楽の専門家(フェリス女子学院大学教授)である著者立神祥子さんは門外不出、その内容をすべて理解しなければ他には提供できない高次脳機能障害リハビリテーションプログラムを行っているRusk研究所に回復を懸けるのです。しかも、立神先生は、夫のプログラム参加中に研究所から認められて、日本に紹介することを許可されたのです。

平成23年には山形に講演に来ていただきました。ご夫妻は、クリスチャンであり、穏やかな語り口の当事者である小澤富士夫氏、そして横浜、山手の丘の雰囲気を伝えてくださる立神先生を山形にお迎えしたことは、高次脳機能障がい者の回復に方策があることを目の当たりにした貴重な機会でした。

音楽の専門家は日々の訓練が何よりも大切であるということを音楽を始めた幼少期から気づいているのでしょう。ご夫妻共に訓練の重要性を理解して私からすれば過剰とも思えるプログラムを全うするのです。

高次脳機能障害のうちでも記憶障害については比較的理解しやすいですが、この本の出版によって、注意障害、神経疲労についてより注目が集まることになったのだと思います。