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高次脳本⑧ リハビリテーション科の医師が選ぶ障害の本

高次脳本8冊目 壊れた脳 生存する知

高次脳機能障がい者支援に行っているリハビリテーション科の医師(きもの大好き)がおすすめする本の紹介です。

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高次脳機能障害を発症した患者さんのご家族の方は発症前と比較して良くならない、変わってしまったと言います。リハビリテーションを担当している側としては発症の時よりはずっとよくなって見えるので、医療者とご家族と意見がすれ違うことがあります。山田規畝子さんは私にとってご家族の感じ方を実感できると思える存在でした。

 

著者の山田さんは大学、整形外科医局の1年後輩です。きっこちゃんと呼ばれていました。彼女とは学年は違っても気が合うというか、高松のご実家に遊びに行ったこともあります。彼女は講演の時に私がいると気を使って医師として注射の仕方から教えてもらったと話してくれていました。実際は頭の回転の速い彼女に私がついていくような形でゴルフに行ったり、飲み会を企画したり、仕事でも何日も病院に泊まり込んで合宿のようでした。私たちの整形外科の大先輩が大学から移動されたときの送別会にも息子さんと日本橋のホテルまで駆けつけてくれました。山形に講演に来てくれたこともあります。山形にいらしたときに大学の同窓会の先輩方が集まってくださってお話をしたときは大学の教授の名前、構内の設備はきっこちゃんが一番覚えているのです。それでいて、大事なものをなくしそうになったり、本当に高次脳機能障害の症状はわかりにくいと改めて思いました。

この本を出版してから、定期的に著作を発表していきました。当初は自分の気づき、周囲の反応などを冷静に書くことが多かったのですが、次第にほかの方にも役に立つような対処法、考え方に内容に変わっていきました。彼女の症状もまた改善していたのだと思います。

講演を全国に招かれて行っていたところ、数年前に再度発作を起こされてから、現在一人暮らしは難しいようで、残念ながらお目にかかれていません。情が厚く、チャレンジャーなきっこちゃんはリハビリにがんばっていると思います。今度はキモノで会おうね。

今回は懐かしい話ばかりになってしまいました。

 

 

山田規畝子さんHP

「壊れた脳 生存する知」山田規畝子オフィシャルサイト (rocket3.net)