私のきものストーリー②
今週のお題「〇〇からの卒業」からの卒業です。
母が着物を卒業した話を書きます。
母の着物
私の母は、海の近くの田舎で育ちました。医家の長女として生まれ、医師である父親は30歳代でなくなり、母親も病弱で、自分は医師になる!という強い意志で町に出て、勉強したそうです。叔父の配偶者が医師で病院は続いていたものの、収入がない母たちは肩身の狭い思いもしたと思います。
経済的にも決して豊かではなく、大学の同級生だった父から見ても「いつも変な格好をしてお腹を空かせていた」とのこと。薄幸そうな様子に父が惹かれたのでしょうか、モディリアーニの絵を見て父が「似てるな」と言ったのを聞いたことがあります。
母の母親も私が生まれる前に長い療養生活のあと亡くなっていましたし、医師として継がなければならない病院があるにもかかわらず、父と結婚してしまった母は実家とは疎遠になっていましたので、母には受け継いだ着物はありません。
なので、母の着物は全て自分で手に入れたものです。小児科医として働きながら、3人の子育て、義父母との同居、たくさんの職員さんとの関係など忙しく忙しく働いていた母です。
私が着物を着るようになってからも、「私の着物はあなたに全部上げるから買わないで」と繰り返して話してくれました。でも、譲ってはくれないのです。自分の着物だから。
それが、数年前から本当に譲ってくれるようになりました。自分がもう着られないとわかってきたのですね。
自分が着られるうちは譲りたくない自分の着物、そんな母の気持ちは着物好きDNAとなって私に受けつがれたのでした。
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