色で楽しむキモノ~Let's coloranalyze!~

医師できものカラーコーディネーターが着物の魅力と生活のスパイスを書いています。

高次脳本④ リハビリテーション科の医師が選ぶ障害の本

高次脳本4冊目。

高次脳機能障がい者支援に行っているリハビリテーション科の医師(きもの好き)がおすすめする本の紹介です。

f:id:letscoloranalyze:20210310075245p:plain

『日々コウジ中』柴本礼著はコミックで読みやすいので、脳卒中を発症したばかりのご家族や相談に来た当事者の方にまず、お勧めする1冊です。残念ながら現在は紙の本は絶版になっています。電子図書で読めるのですが、すべての方が電子図書に馴染んでいるわけではなく、貸し出しもできないので困っています。『続・日々コウジ中』は発売されているようです。

この本を頼りにしているのに、絶版されていることに驚いたのも、私が当事者や家族の本を紹介している理由の一つです。

 

この本の特徴は、困っている自分たちにたいしてユーモラスに表現できています。それは礼さんの人柄そのものなのでしょう。

それについては、講演会に聞いたときに、夫、コウジさんの発症前に礼さんが描かれていたイラストの紹介がありました。そのロマンチックなイラストは礼さんの美しいものへの感性と描けることへの感謝の気持ちが表れていると感じました。

 

作品の中でコージさんは会社に勤めることになり、そこで様々な騒動を引き起こすのですが、そのトラブルに対しての目線もとても賢く、優しいのです。講演会でも、「コウジさんがやさしい人だから」と繰り返し話されて、ラブラブぶりがうかがえました。愛される人柄は高次脳障害を得た当事者と周囲でつくり上げていくものなのかもしれません。

明るい画風でわかりやすく、柴本礼さんは専門書も含めて高次脳機能障害の本のイラストをいくつも書かれています。

 

 

 

letscoloranalyze.hatenablog.com

おすすめの一冊目に紹介したこの本にも柴本さんが寄稿されています。