高次脳本⑤ リハビリテーション科の医師が選ぶ障害の本
高次脳本5冊目
高次脳機能障がい者支援に行っているリハビリテーション科の医師(きもの大好き)がおすすめする本の紹介です。
医師である父親が書いた、高次脳機能障害を得た娘Pちゃんのドキュメンタリーです。出産まじかに血圧が上がったりするのはよくあることですが、それがくも膜下出血となりPちゃんは生きられるかどうかの瀬戸際の中、男の子を出産します。
重度の記憶障害が残り、山口の実家で療養しているところに定期的に訪れる夫のことも帰るとじきに忘れてしまい、会っていないと言うなど胸が詰まるの様な症状も、冷静にユーモアを交えて描かれています。そして、素晴らしいのは、ご両親が変わってしまったところと残っている力を見極めて、Pちゃんの不思議な行動、こだわりをとまどいながらも寛容に受け止めています。Pちゃんのお母様は元教師だそうです。人を育てるということと回復過程に寄り添うことは似ているのかもしれません。
自分が忘れやすいということを曖昧に理解しているPちゃんは『ごめんね』と息子に謝ります。自分が忘れやすい、覚えられないと思っていてもなかなか行動に結びつけるのは難しいので、愛情たっぷりに育ってきた素直なPちゃんの性格が表れていると思いました。
高次脳機能障害は程度、症状とも様々です。見えない障害といわれています。
刊行に寄せてを書いている中島八十一先生は国立リハビリテーションセンターで全国の高次脳機能障害支援の枠組みを作られた方です。山形県で高次脳機能障害支援事業を始めた時も大変お世話にになりました。中島先生が退官後に出版された支援の本を私たちも利用しています。
医師で当事者のシェリル・サリバン先生の本はこちらで紹介しました。高次脳本②
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