色で楽しむキモノ~Let's coloranalyze!~

医師できものカラーコーディネーターが着物の魅力と生活のスパイスを書いています。

高次脳本② リハビリテーション科の医師が選ぶ障害の本

高次脳本2冊目です。

高次脳機能障害は見えない障害といわれて、手足のまひや失語症と異なり、一見してわかる障害と比較して周囲から理解されにくいと言われます。自らも自覚しにくいのが特徴とされています。

 

シェリル・サリバン医師は医師です。スキー場での転倒による高次脳機能障害(この本の中では認知機能障害)を得た後に、長い時間をかけて日常生活をより良く過ごす方法を考え実践してきました。そして、同じような症状の人達へ日常生活の手段と方略を私たちに伝えようと本を書いてくれました。自助の本でもあります。

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第1章が「身体を整える」から書き始められているように、認知面だけでなく患者の体をできるだけ良い状態に保つ、不要な負荷をかけず、患者自らも不要なストレスを選択しないことの大切さが説かれています。高次脳機能障害は認知の問題だけではない、身体も含むその人全体の障害問題であるとの認識は当事者ならではの視点と思います。

タイムマネジメント、そしてコミュニケーション、移動などの知恵や方略は、高次脳機能障害の人だけでなく、忙しい毎日を送るすべての人に役に立つヒントが満載です。

例えば、一日の終わりに明日の準備をしましょう。自動車を相乗りしましょう。は忘れ物の多い、私にとっても役に立ちました。用事があるとつい気軽に一人で車を運転していきたくなりますが、だれかと一緒に行った方が疲れていたら指摘してくれるとか、道を教えてくれるとか安全なこともありますよね。

 

サリバン医師は自ら軽度な損傷といっていますが、軽度だからといって日常生活がたやすいわけではなかったと思います。自己憐憫はなく、自分の人生を自ら舵をとりたいという、意志が伝わってきます。。

 

この日本語訳はクラウドファンディングで翻訳出版されました。協力者には高次脳機能障害支援の第一線で活躍している方のお名前も見受けられます。

脳卒中の方が自宅へ帰る前に読んでいただきたい一冊です。