色で楽しむキモノ~Let's coloranalyze!~

医師できものカラーコーディネーターが着物の魅力と生活のスパイスを書いています。

反物のベースの色を染める、引き染め~白生地から誂えるきものの旅(14)

 

 

型染めと同じ日に、反物の地色の染めも行われました。

引き染めという手法です。

 

引き染め 反物の端を張り木で挟み、伸子で引き伸ばして張るように広げます。そして「引き刷毛」と呼ばれる専用の刷毛に染料を含ませて、一気に染めていきます。広い面積を染色できるという利点がありますが、気象条件や気温や湿度、布の高低差などによる染料の偏りで染めむらができることもある難しい染め方です。豊富な経験と染料に関する知識などが必要とされます。

きもの用語大全よりhttp://www.sobien.com/kimono/%E6%8A%80%E8%A1%93/%E5%BC%95%E3%81%8D%E6%9F%93%E3%82%81.html

 

でも引き染めの準備が必要なのです。

準備 1.柄の部分を米糊の真のりで2回塗る、2.薬剤の入った防染糊で上伏せ。3.挽き粉(木くず)をまく

いずれも柄の染めと地色の染めが混ざらないようにするためです。

 

さて、引き染め屋さんに反物が来ました。節子さんが届けてくれました。

伸子に反物を貼って、一気に刷毛で染めていきます。その前に地入れ(豆の汁塗ふのりに薬剤を混ぜたものを生地に塗って染料が良く入るようにする)をします。地色はベージュ。

 

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上の写真は伸子にはった反物。

下の右の写真は糊伏せして黄色っぽく柄が見えますね。

これでベースを染めても色が混ざらない。

引き染めが終わった反物は蒸して水洗いします。作業工程多すぎ!平凡な言い方ですが、一枚のキモノが仕上がるまでにはたくさんの職人さんの手わざがかかっているんですね。改めて感じ入ります。

 

 

ふのりは海藻から作りますが、山形ではエゴといって海藻からできた郷土の珍味があります。ところてんの大きい版の様なものです。私の住んでいる町にも老舗の絵小屋さんがあります。普通にスーパーマーケットなどで売っています。東北では食べるものでキモノの染めをしているんですね。